官能情景小篇・セーラープルート

鳳翔 伶

 
 薄暗く、蒸し暑い地下室。
部屋の中央には、巨大な植物が生えていた。
植物からは、何十本というツタが伸び、先端から白濁した粘液を滴らせながら、ズルリズルリと、獲物の体の上で妖しく蠢いている。
その姿はまるで、ツタの一本一本がそれぞれに生命と意志とを持った、軟体動物のようでもある。
事実、プルートの裸身に絡みつくツタは、それぞれが自由に動きまわり、体の隅々まで這いずって女の敏感な部分を責めたてるのだ。
「…ん…っ………くぅ……」
 プルートは、微かな声で喘いだ。
この植物に捕らわれて、もう、何時間経つのか。
最初は、驚くほどの怪力で全身を締め上げられ、体力を搾り取られた後、手袋とブーツ以外の身にまとう衣服をすべて剥がれて嬲りものにされ、今度は、精力までも搾り取られようとしているのだ。
もちろん、プルートは必死に抵抗した。
襲いくるツタの群れから逃れようと、幾度となく闘いを試みた。
だが、その度に鎮圧され、結局は、汗と粘液でぬるぬるとする肉体を、ツタの海の中で
虚しく溺れさせるだけに終わっていた。
「あっ……ああっ!」
プルートの声が高くなった。
しばらくのあいだ、ゆっくりと絡んでいたツタの群れが、唐突に、その動きを激しくしはじめたのだ。
左右の腕に巻き付いたツタが、二の腕から肩へ、腕の付け根から首へ、さらには胸元へと、ぬめ光る粘液を滴らせながら這いまわる。
その動きは、ツタと言うよりも、まるで細長い舌のようだった。
「くぅぅっ…」
肉付きのいい豊かな乳房を、根元からじわじわと締め上げられて、プルートは苦悶の息を洩らした。
粘液には媚薬効果でもあるのだろうか、肌の上でツタが蠢く度に神経がピリピリと痺れてきて、思わず、鳥肌が立ちそうになるのだ。
たまらない感覚に、プルートの息は次第に熱くなる。
その一方では、両脚に絡みついたツタが汗と粘液に濡れた太股に巻き付き、ズルズルとうねりながら左右に大きく裂かれた股間にも入り込んできて、熟れた媚肉のヒダを怪しくまさぐって、より一層、快感を刺激する。
さらに、ツタの先端は、乳首やクリトリスにも次々と向かってきた。
「や、やめてっ!!」
さすがに、プルートは悲鳴をあげた。
自由の利かない四肢をもがかせ、胴体を左右に激しく揺さぶって、必死にあらがおうとする。
だが、そんな抵抗も、ほとんど効果はなかった。
何本ものツタが、ピーンと尖りきった乳首や、充血してぷっくり膨らんだクリトリスに群がり、吸いつくようにして転がしたり、小突いたりして責めつづける。
「あうっ…あっ………い…いやぁっ!」
懸命にもがき、叫ぶプルート。
しかし、その口にもツタが伸びて、赤い唇を無理矢理に割り開き、喉の奥にまで侵入してくる。
「むっ! んうっ…むぶぅーっ!!」
滝のように流れ込んでくる粘液に、喉を詰まらせそうになりながら、プルートは苦しげに呻いた。
体はますます痺れ、力は急速に失われていく。
もはや、妖しく蠢くツタの群れの中で、汗と粘液とにまみれた裸体が、弱々しい嗚咽を洩らしながら、力なく悶えるだけだった。
「…や…やめて………もう……」
息も絶え絶えに、プルートは喘いだ。
ようやく、執拗な集中攻撃が終わった時、疲れ果てたその体には、もはや抵抗するだけの体力も気力も残されてはいなかった。
ぐったりとなった裸身に、再び、ツタが絡みつく。
何本かのツタが、一本の男根状にまとまり、プルートのヴァギナを犯しはじめた。
クレヴァスを割り、内側へと侵入したそれは、成熟した肉壁を存分にかきまわしながら柔肉の最奥部へと潜り込み、女の花芯を絞り尽くそうと嬲りぬく。
さらに、別の何本かのツタが、同じようにまとまりを形づくると、今度は、後ろの割れ目に狙いを定めた。
「ひぃぃーっ!!」
太いツタの塊に、アナルを貫かれた瞬間、プルートは悲鳴をあげた。
しかし、その後は言葉も出ない。
激しく突き上げられ、身を震わせるだけだった。
「…あうっ…………ああっ……あっ………あぁうっ」
前後の肉穴を同時に犯されながら、プルートは熱い息で喘ぎ、あられもない声をあげてヒィヒィと哭き、身を悶えさせつづける。
プルートは、今、最後の力をも失おうとしていた。
思考という力を−−。

《終》

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